※この記事は2017年に取材・制作し、FeelWorksのホームページで公開されていたものを転載しています。
有限会社あきゅらいず/『美しさを容(かたち)づくるのではなく、美を養うことからはじめよう』をコンセプトに、素材にこだわったスキンケア商品などの企画・開発、通信販売を手掛ける。オフィスは東京都三鷹市。代表取締役の南沢典子氏が化粧品会社に勤務していた当時、より顧客のニーズに沿った商品を作りたいとの思いでスキンケア商品の企画室を立ち上げたのが同社のルーツ。2003年に独立し、有限会社あきゅらいず美養品を創業。質の高い商品と顧客志向のサービスが反響を呼び、全国にファンを増やしていった。働き方改革にも積極的に取り組み、「平成24年度 関東地域における人材戦略ベストプラクティス集~女性の活躍により飛躍する企業~」(関東経済産業局)にも選ばれている。UBU(うぶ)グループとしてほかに5社を擁し、アロマオイルや洗剤の開発・販売、里山保護などの事業も展開。社員数はあきゅらいずが48人、グループ全体で111人(2017年3月現在)。
社員に求めるのは「プロフェッショナルであること」
現在の制度では、給与が評価に見合った水準に達していなければ、給与ダウンを提示する。その点は厳しい。ただし、社員の成長を促すことが目的なので、ダウンが見込まれる社員には半年前に伝え、その間に努力と改善を求めるという。このように、制度そのものは目まぐるしく変わっているが、目指しているところは一貫している。同社は、あくまでも社員にプロであることを求め、社員の成長段階に応じた適切な評価方法を追求しているのだ。
この考え方がわかりやすく表れているのが、会報誌などの制作を手掛けるUBUグループの1社mimaの組織形態だ。同社に在籍するのはプロデューサー、ディレクターなどのプロフェッショナルばかり。mimaに籍は置いているが、一人ひとりが個人事業主で、毎月、請求書を発行して報酬を受け取る。mimaの業務は、UBUグループの仕事が8割を占めているが、残りは外部の案件も手掛けているという。もちろんプロ集団だからこそできることだが、mimaでは、『自立・自律・自率』が理想的なかたちで実践されているといえる。
「mimaで修行したいあきゅらいずの社員は、手を挙げれば移ることができます。最初の2年間は社員としてお給料を保証しますが、そのあとは独立してくださいというのが条件。今まで数人がチャレンジしましたが、みんな『やっぱり無理です…』と戻ってきちゃいました。プロ集団は厳しいですからね。でも、お金を稼ぐことの大変さはみんな実感できたと思います」
あきゅらいずは、一時期新卒採用を実施していたが、今はストップしている。その理由を、南沢社長の右腕であるmima代表の松本毅史氏(写真右)は次のように説明する。
「あきゅらいずの環境についてこれなくて辞めてしまう人が多いんです。新人にも仕事を任せますし、成果を求めますから。手取り足取り教えることもしないので、『放っておかれているのに、成果は厳しく問われるなんて…』と感じてしまうようです」
自分が何を成し遂げたいかが自分で理解できていない人にとっては、あきゅらいずの自由さは確かに厳しい。何をすればいいかがわからず、自分を見失ってしまうからだ。また、同じく社長の右腕の一人であるあきゅらいず取締役の金光広樹氏(写真左)は、辞めてしまう人の典型例を次のように語る。
「採用面接ではお互いを理解できるよう、決して圧をかけたりせずフラットな関係で話をするんですが、新卒・中途問わず面接中に泣いてしまう人が結構いるんです。面接がキャリアカウンセリングのようになってしまっていたんですね。そして、面接で泣いた人は高確率で辞めてしまう。これは採用の方法を考えなくてはいけないなと」
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