※この記事は2016年に取材・制作し、FeelWorksのホームページで公開されていたものを転載しています。
株式会社日本レーザー/1968年設立のレーザー専門商社。1993年に3年連続の赤字で債務超過に陥り、近藤宣之現社長が経営の立て直しのために本社から出向。「リストラは絶対にしない」と宣言すると同時に、粗利管理の導入などの業務改善を徹底して行い、就任1年目で黒字転換に成功した。翌年、親会社の取締役を退任し、背水の陣で臨んだ結果、2年目で累積赤字を一掃して復配に成功。現在に至るまで22年連続で黒字経営を維持している。2007年には国内では異例のMEBO(経営陣と従業員が参加する企業買収)により、親会社から独立。社員第一主義の経営は社外からも高く評価され、「第1回 日本でいちばん大切にしたい会社大賞(中小企業庁長官賞)」、経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」など表彰歴も多数。従業員数は60人(2016年1月現在)。
「目に見えない貢献度」を社員同士が話し合うアナログ成果主義
「成果」の評価方法もユニークだ。同社では、「売上げ」ではなく「粗利」を重視して成果を評価するが、「目に見える成果」だけに注目すると、高い粗利は担当営業だけの手柄になってしまいがちだ。しかし、同社では「目に見えない貢献度」もしっかり評価する。
「一つの受注を得るまでには、営業だけでなく技術部の社員など複数のメンバーが関わっています。ですから、当社では該当する案件の粗利を関わったメンバーで必ず分配します。『技術部の社員が事前説明やデモンストレーションを担当したら30%』など、基本となるルールを設け、後は当人たちが話し合って決めます。いわば『アナログ成果主義』。毎年7200件の受注がありますが、分配で揉めたケースは1件もないですね」
「理念の体現度」に関しては、一般社員・幹部社員それぞれに設けられた20項目で評価される(定年再雇用の社員は10項目)。「誰とでも何時でも、明るい笑顔で接し、きちんと挨拶している」「他人を頼らず、自分に確信をもって行動している」「現状に甘んぜず、常に意識改革し、自己革新している」といった評価項目に対して、それぞれ10点満点で10点、6点、2点、0点の4段階で評価(0点は例外的)。そして、その評価は年2回の上司との面談において本人にフィードバックし、自己評価との隔たりがあれば、しっかり話し合って認識のズレを埋めていく。その結果、評価は成長への目安となり、全社のレベルが上がっていく。
人を軸とした同社の「新しい日本型経営」を追求するには、「徹底した理念教育」が重要な意味を持つ。この理念主義に基づく評価と年2回のフィードバックにより、社員は、自分が理念に沿った行動ができているかどうかを常に振り返り、意識するようになっている。
- 1
- 2
コメントを残す