マネージャーは“支援職”。逆ピラミッド型の組織を形成
社長就任当初、経営改善のために斉之平社長が取り組んだのは、ニッチトップ戦略など戦略面での仕掛けと人材育成だった。一人ひとりが社長のように考え、主体的に動ける自律型社員を育てたい──。成長前夜の状態にあった三州製菓にとって必要なことと社長の個人的な思いがそこで一致した。
消費者のニーズが多様化するなかで、斬新な新商品を開発するには女性のアイデアが不可欠だという考えもそこにはあった。製造業では特に根強かった“男性正社員中心主義”では時代の変化に対応できない。そこで、現場で働く女性の能力を引き出せる組織へと大胆なシフトチェンジを図ったのだ。
しかし、上からの号令や単なる制度改変だけでは、働く人たちのマインドは変わらないし、容易に自律型の人材は育たない。三州製菓の改革を成功に導いたのは、徹底した“ボトムアップ型”の組織作りだ。
「当社の組織図は、最上位にお客様があり、その下に従業員、さらにその下に支援職(マネージャー)、そして社長がいちばん下に位置する逆ピラミッド型です。最も大切なのは現場の発想や自主性。上からの指示・命令で人を動かすのではなく、現場を下から支えるのが当社のマネジメントです。上司は管理するのではなく、従業員に権限を与え、自由に仕事をさせることが役割ですから、“支援職”という呼称を使っています」
“下から支える”ために重要なのがコミュニケーションだ。
例えば、同社では、部下にミスがあった場合、社長も支援職も頭ごなしに叱ることはしない。なぜミスが起きたのかを部下と話し合い、業務改善につなげていく。また、適材適所の人員配置にも気を配っている。一人ひとりの強みを日々の“聴く”コミュニケーションを通して把握し、それぞれが能力を発揮できる役割や業務を与えていく。
構成/伊藤敬太郎
- 1
- 2
コメントを残す