女性活躍推進の本番はこれから《後編》トップメンターによる育成と女性リーダーネットワーク構築

本コラム前編では、女性活躍推進本番の重要課題の1つとして、女性トップリーダーの不足とその原因を概観しました。そして、現在厚みを増しつつある女性リーダー・管理職候補層からトップリーダー育成への道筋をつけることが求められていることにふれました。現時点で女性役員等の幹部候補となる経験者の絶対数が不足している現状から、まずは焦らず、5年、10年、20年のスパンで、現在の課長層、部長層から経営層をじっくりと育てていくことが大切です。そこで、女性リーダー・管理職候補層の抱える課題を押さえたうえで、企業による女性トップリーダー育成への方策はどうあるべきか、私なりの提案を述べます。

管理職としての悩みや求められるものは男女共通

「プレジデント ウーマン プレミア」2019年夏号(プレジデント社、6.28発行)の特集「令和元年 理想の女性リーダーのリアル」では、同誌メールマガジン読者など1,676人から回答を得たアンケート結果を掲載し、私が解説しました。そこで、その中から女性管理職の現状について気になるポイントをいくつか紹介しましょう。

「管理職になって難しいと感じたことは」との問いへの答えは、第1位が「働き方に対して意識差のある部下のマネジメント」、第2位が「部下の叱り方」です。これは、私が営むFeelWorksが大手企業で開講する上司力研修でも男性管理職からよく挙げられるダイバーシティマネジメントや部下指導の悩みや課題と変わりません。また、部下側に「女性管理職に備わっていてほしい要素」を聞いたところ、第1位が「自分や部下の失敗に対して責任をとる覚悟」、第2位が「公平である」こと。さらに、「ロールモデルになりそうな女性管理職像」では、第1位が「自己管理ができる」、第2位が「決断力に優れている」との結果でした。

管理職になれば自分を動かす仕事から人を動かす仕事へ、さらに経営幹部になれば組織を動かす仕事へと、必要な力の比重が移っていきますが、この望まれる管理職像においても性差は関係ないようです。すなわち、女性管理職の悩みや課題は男性管理職が感じているものと共通しており、女性の活躍に必要なことは、リーダーとしての経験や部下育成の機会を通じてトレーニングしていくことなのです。それでは、以下に女性トップリーダー育成のための提案を述べましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

人材育成の専門家集団(株)FeelWorksグループ創業者。兵庫県生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒業。リクルートで「リクナビ」「ケイコとマナブ」「就職ジャーナル」などの編集長を経て2008年に「人を大切に育て活かす社会づくりへの貢献」を志に起業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、独自開発した「上司力研修」「50代からの働き方研修」、eラーニング「新入社員のはたらく心得」などで400社以上を支援している。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年に(株)働きがい創造研究所設立。一般社団法人企業研究会 研究協力委員、ウーマンエンパワー賛同企業 審査員なども兼職。著書は『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『上司の9割は部下の成長に無関心』(PHP研究所)、『年上の部下とうまくつきあう9つのルール』(ダイヤモンド社)、『「仕事を続けられる人」と「仕事を失う人」の習慣』(明日香出版社)、『もう、転職はさせない!一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社)など30冊。最新刊『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)は、発売2カ月で4刷とベストセラーとなっている。YouTube「FeelWorksチャンネル」で働き方のヒント発信中▶https://www.youtube.com/channel/UCQfltGZFasnuK0BWQA8BSjg/