《その3》根拠なく楽観する人
大企業で一定のポストに就き、高い収入を得ている人には、自分にそれだけの社会的価値があるという自信とプライドがあります。そのために、自分の市場価値や相場を調べることもせず、根拠なき楽観主義に陥いる場合があります。「大手の管理職の自分なら中小企業の仕事など簡単に務まるはず」「転職先の年収は、贅沢は言わずとも700万位は欲しい」等々。
しかし、そもそも大企業の管理職世代が得ている高額の年収は、初任給や若手時代に低く抑えた分、後払いで高く支払う年功序列型ゆえ。現時点での本人の能力に対する対価ではありません。自分の転職後の市場価値を正しく見積もれば収入半減以下の可能性もあり、その覚悟も必要なのです。さらに言えば、セカンドライフで実際にどれだけの収入が必要なのか、現実的な生活レベルの見直しも必要でしょう。その準備も覚悟もない人は、辞めてはいけません。
《その4》自分を客観視できない人
「上司が自分を正当に評価しない」との理由で辞める人は少なくないものです。上司への不満や上司と折り合わない悩みは、多くの組織人に共通します。中には理不尽な上司もいるでしょう。しかし、上司への不満ばかりを語り、感情的な行動に走る人は、往々にして自分を客観視できていない傾向があります。自己評価と上司からの評価が違う場合、客観的には上司評価のほうが妥当性が高い場合が多いものです。特に大企業の評価システムでは、上司は自分の個人的感情だけで部下を評価できず、多面評価や人事部署からの情報も踏まえている場合も多いでしょう。つまり、自己評価は主観的で高めなのに対して、低く感じられる他者評価のほうが実像に近いものなのです。
そもそも上司からの評価が低く関係が良くないのなら、それをいかに改善・解消するかもキャリア自律したプロフェッショナルに求められる力のうちです。上司との人間関係を理由に転職しても、また同じことを繰り返します。起業・自営業に転じたら「顧客が評価してくれない」とこぼしても、はじまりません。それを改善し、価値を提供するのが仕事です。そうした人間関係力構築の修練ができないうちに辞めるのは危険です。
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