企業は50代ミドルの独立支援に舵を切ろう《前編》

企業による70歳までの就業確保や社会貢献活動支援を努力義務化

さる2020年3月31日に高齢者雇用安定法などが改正され、社員の70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となり、2021年4月から施行されます。現在65歳までの雇用確保の義務付けを努力目標として5年延長し、将来的な義務化も視野に入れたものと言えるでしょう。

そして、今回の改正の特徴は、企業に求める努力の選択肢に、従来の①定年の廃止、②定年延長、③継続雇用制度導入に加え、④他企業への再就職の実現(子会社・関連会社以外)、⑤フリーランス契約への資金提供、⑥起業支援、⑦社会貢献活動参加への資金提供という、退職後の就業や社会参加への支援を加えた点です(図参照)。

この改正の背景には、年金財政が逼迫し社会保障費が増大するなか、高齢者をできるだけ長く「支える側」に留めておきたい政府の思惑が垣間見れます。しかし、上記施策の①~③だけでは雇用流動化が進む時流と逆行し、企業の反発が強まります。日本型雇用の代表格であった大手メーカーのトップまでが「もはや終身雇用維持は難しい」と吐露し、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への転換に舵を切り始めているのです。そのため、政府が④以下の幅を持たせることで折り合いをつけたと考えることもできるでしょう。

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