内発的動機づけによる仕事が個人と組織を成長・発展させる
前編で紹介した株式会社タニタから独立した元社員は、自分の市場価値を常に意識しながら、自分を磨き続けています。他社とも業務契約も結び、やりがいや報酬の高い仕事を選択しますから、優秀な人材の流出リスクもあります。しかし、タニタはそれを恐れるのではなく、本人が社外での経験値を社内にフィードバックしながらさらに活躍してもらえるように、魅力ある組織を目指そうと考えています。こうした個人と会社との、対等で緊張感のある新しい関係が、一人ひとりの自律的なキャリアアップと会社の生産性向上につながると信じているのです。
人が働きがいをもって働くことは、他者から指示・命令され、組織の歯車として他律的に仕事をするなかでは実現しにくいものです。自分自身が得意でやりたい仕事を見出し、それを自ら創意工夫しながら行い、お客様や社会から喜ばれる経験が必要です。こうした内発的動機づけによる仕事こそがモチベーションを高め、働きがいに結びつくのです。その観点からすると、社員との雇用契約を業務委託契約に切り替え、独立を促すという一見無謀にも見えるタニタの施策は、たいへん理に適ったものなのです。
スウェーデンの事例に考えさせられました。そして、「仕事ではなく人を守る」という観点で、本当の「人に優しい」とは、厳しいやさしさであり、すなわち「常に人に成長と変化を追い求める事」であるという点に、大変共感しました。
このような状況に早くなるように官民挙げて取りんでいくことが必要であると、私も思います。