企業は50代ミドルの独立支援に舵を切ろう《中編》

内発的動機づけによる仕事が個人と組織を成長・発展させる

前編で紹介した株式会社タニタから独立した元社員は、自分の市場価値を常に意識しながら、自分を磨き続けています。他社とも業務契約も結び、やりがいや報酬の高い仕事を選択しますから、優秀な人材の流出リスクもあります。しかし、タニタはそれを恐れるのではなく、本人が社外での経験値を社内にフィードバックしながらさらに活躍してもらえるように、魅力ある組織を目指そうと考えています。こうした個人と会社との、対等で緊張感のある新しい関係が、一人ひとりの自律的なキャリアアップと会社の生産性向上につながると信じているのです。

人が働きがいをもって働くことは、他者から指示・命令され、組織の歯車として他律的に仕事をするなかでは実現しにくいものです。自分自身が得意でやりたい仕事を見出し、それを自ら創意工夫しながら行い、お客様や社会から喜ばれる経験が必要です。こうした内発的動機づけによる仕事こそがモチベーションを高め、働きがいに結びつくのです。その観点からすると、社員との雇用契約を業務委託契約に切り替え、独立を促すという一見無謀にも見えるタニタの施策は、たいへん理に適ったものなのです。

1 個のコメント

  • スウェーデンの事例に考えさせられました。そして、「仕事ではなく人を守る」という観点で、本当の「人に優しい」とは、厳しいやさしさであり、すなわち「常に人に成長と変化を追い求める事」であるという点に、大変共感しました。
    このような状況に早くなるように官民挙げて取りんでいくことが必要であると、私も思います。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    人材育成の専門家集団(株)FeelWorksグループ創業者。兵庫県生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒業。リクルートで「リクナビ」「ケイコとマナブ」「就職ジャーナル」などの編集長を経て2008年に「人を大切に育て活かす社会づくりへの貢献」を志に起業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、独自開発した「上司力研修」「50代からの働き方研修」、eラーニング「新入社員のはたらく心得」などで400社以上を支援している。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年に(株)働きがい創造研究所設立。一般社団法人企業研究会 研究協力委員、ウーマンエンパワー賛同企業 審査員なども兼職。著書は『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『上司の9割は部下の成長に無関心』(PHP研究所)、『年上の部下とうまくつきあう9つのルール』(ダイヤモンド社)、『「仕事を続けられる人」と「仕事を失う人」の習慣』(明日香出版社)、『もう、転職はさせない!一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社)など30冊。最新刊『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)は、発売2カ月で4刷とベストセラーとなっている。YouTube「FeelWorksチャンネル」で働き方のヒント発信中▶https://www.youtube.com/channel/UCQfltGZFasnuK0BWQA8BSjg/