【STEP③】「協働意識」を醸成する
ステップ「①相互理解」と「②動機形成」によって、部下一人ひとりの仕事・役割とその意義を腹落ちしてもらったら、次は部下がチームの一員として連携・協力し合えるように協働意識を醸成していきます。協働の意義を理解するには、これからの時代に求められるチームとは何かを再認識することが大事です。
これまでの日本企業の多くは、仕事人間の男性正社員を中心とする「ピラミッド組織」が主流でした。その原型は、昭和の右肩上がりの経済成長を背景とした終身雇用の年功序列組織です。強い権限をもつ上司の下で、社員には個性を活かし創意工夫するよりも、同じ価値観と指向性をもつことが求められ、上意下達で一糸乱れず動くことが尊ばれました。この組織モデルは、高度成長期に大きく貢献した製造業の工場には相性が良かったともいえます。社員は「ポスト」と「報酬」で動機づけられ、過酷な残業や異動や転勤も厭わず一所懸命に働くことで、安定と出世を保障されてきたのです。戦後の焼け野原から経済的な豊かさをつかんでいくために、労使の利害も一致したからこそ機能したともいえるでしょう。
しかし時代は変わり、今の職場は年齢・性別・雇用形態などバックグラウンドも多様なメンバーによるダイバーシティ組織です。一人ひとりの価値観や持ち味もまちまちですし、育児や介護との両立など働き方に制約があるメンバーもいますから、無理やり画一的なチームを作り動かす手法は上手く機能しません。また、企業の終身雇用の維持が困難になるなかで、若手社員を中心に「就社」から「就職」に意識も変わり、組織の命令を部下に強いるやり方は到底通用しません。一人前まで長期視野で育てる日本型雇用の長所は守るべきですが、日本型のメンバーシップ型雇用に馴染んでいない若者ほどキャリア意識も強く、欧米型のジョブ型雇用に適応しやすいかもしれません。
上司は職場をこれまでの「ピラミッド組織」から、「組織の目的」と「個々の尊重」で動機づける「サークル組織」に位置づけなおし、個性の異なる多様な部下どうしの協働の力でチームの成果を上げていけるように導くことが必要になるのです。正に支援型マネジメントが求められる所以です。

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